お父さんのいびき

北国の寒い寒い冬の間
 
母は左、私は真ん中、父は右に、
 
私の家族は一つの温かいお部屋で、その名の通り川の字で寝る習慣があった。
 
 
私の父はとっても大きいいびきをかく人だった。
 
私と母は、ライオンが吠えてるみたいだってよく小馬鹿にして笑った。
 
そんな笑い声も本人の耳に届きやしない、大きないびきだった。
 
母はそれについてよく文句をいった。
 
けれど父は、毎晩毎晩大きないびきをかいていた。
 
 
 
無防備に解放された夜には、安心感と安らかな眠りが一緒だ。
 
私はそんな父を見て、今日も世の中が1日を無事に終えたんだって感じた。
 
 
 
この前の夜、私を腕に抱いた彼も、私の父に負けず劣らずの豪快ないびきをかいていた。
 
まったくもう、眠れたもんじゃない。
 
でも、そんな小さい不満がたまらなく懐かしかった。
 
今日も世の中が1日を無事に終えたんだって感じた。
 
 
いっぱい詰めこまれた頭ん中も、その身体も、ぜんぶぜんぶ丸裸にして。
 
 
私の横で、安らかにお眠りなさい。